『封神演義』封神演義の一つの解釈【ネタバレなし】
皆さんは「一番好きな漫画は?」と尋ねられて、すぐに答えられますか?
・・・僕は答えられます。
それが今回ご紹介する『封神演義』です。
週刊少年ジャンプの黄金時代に綺麗に完結しきった作品として有名です。
フジリュー版封神演義なんて呼ばれ方もしていますね。
概要
同名の神怪小説の別解釈として現代風のアレンジを加えた作品。
仙人や妖怪が存在する古代中国の王朝は悪しき仙女・妲己の術によって荒れていた。
妲己を始め邪悪な妖怪が蔓延る国を救うべく、主人公・太公望が躍進する物語。
作者は藤崎竜・23巻にて完結。
あらすじ
乱れに乱れた人間界を見かねた仙人・元始天尊は弟子である太公望に
封印すべき邪悪な妖怪を記した「封神計画」を宝貝(パオペエ)という仙界の武器とともに信任する。
これを実行すべく人間界に降り立った太公望は大敵・妲己の策に悪戦苦闘しながらも強力な仲間を増やし、邪悪な妖怪たちを封神(封印)していく。
飄々とした風でありながら着実に「封神計画」を進めていく一方で、隠された事実が次々と判明していくのであった。
封神演義の魅力
全く主人公らしくない主人公・太公望
この漫画の主人公であり随一の策士とされる太公望ですが、逃げも隠れもしますし
まともな戦闘シーン自体が控えめ、挙句の果てには周りからペテン師呼ばわりです。
少なくともパワーアップを重ねて心身ともに成長していくタイプの王道主人公ではありません。
しかしながら、ただのうつけ者というわけでもありません。
太公望の持つ魔力
そんな彼ですが、人を惹きつける力があるんです。
その魔力によって登場人物だけでなく読者の心までも奪っていきます。
一見するとダメダメですが、信念に向かって一生懸命な姿に心を打たれます。
そして基本的にギャグ要員なのでシリアスシーンではとてつもなく格好良く映る。
このギャップもまた魅力的です。
次々と見えてくる一面
物語が進むにつれて太公望が物凄く繊細なひとだということに気づかされます。
それは人の死に触れた時は特に顕著で、見えないところで物凄く落ち込みます。で、次はそうならないように頑張りすぎちゃったり。
全然素知らぬ顔をしながら、仲間のことを人一倍 信頼していたりして可愛いです。
こういった一面を読者視点では全て覗いてしまうわけで、そうなるように描写しているのがズルいですね(笑)
実に魅力的なキャラクターたちが登場する本作で、全く霞むことなく
主人公らしくない主人公を全うする太公望・・・最っ高です。
キャラクターの魅力を引き上げる独創的なデザイン
この漫画の最大の特徴ともいえるのが、作者・藤崎竜の抜群のセンスに装飾を施されたキャラクターたちです。
こちらは完全版13巻と14巻の表紙。描かれているのは作中きっての個性的な二人と一匹ですが、この作者特有の独特なタッチは感じてもらえると思います。
そして注目してもらいたいのが右のキャラクターが持っているもの。
これが前項に書いた仙界の道具・宝貝の一つなんですが、
なんとこの不思議な形をしたものが全宝貝一の最強の破壊力を持っているんです。
上の画像が宝貝界のトップ7。どれも強力な武器には見えませんよね(笑)
こういったセンスも他の漫画には無い魅力です。
個性的なマスコット?
この世界には霊獣と呼ばれる特異な存在がいます。前項画像のネコがそうですね。
この霊獣たち、それほど数は多くないものの ただのペットの域を超えたとても個性的なキャラクターをしていて印象深いんです。
特に太公望の相棒である四不象(スープーシャン)は最初から最後まで太公望の乗り物としてツッコミ役を兼ねて存在感を発し続けます。彼の成長や太公望との絆を感じるシーンにはグッとくること間違いなし。
テンポよく進む濃密なストーリー
一気読みした直後などには特に23巻しか読んでいないことに驚きます。
読んでいる最中はサクサク進んでいるようには感じないんです。
むしろ内容はボリューミーで読み応えがあります。
また独特のノリはありますがギャグシーンの存在のおかげで疲れることもありません。
ただ過激(グロ系)な描写が特に序盤に点在しているため注意です。
マイナー気味なまま埋もれるのもまた良しな作品
間違いなく"一番好きな漫画"ではあるんですが、「オススメな漫画は?」と聞かれて封神演義を薦めることはあまりありません。
癖のある漫画ではありますしね。
それになんというか、主題歌が有名程度の認識も本作には合っているのかなーと(笑)
ここまで書いてなんですがネタバレ書評にしてしまうか とても悩みました。
それほどに思い入れのある作品です。画力の向上やキャラクターの魅力など紹介しきれないほどの要素が詰まっています。
気になった方はお手にとってみてはいかがでしょうか?
封神ワールドにハマってしまった方はアニメやゲームにも・・・(笑)